校長だより

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令和3年度 第17回入学式式辞

(2021/04/09更新)

令和3年度 第17回入学式式辞(4月8日13時~)

 

大仙公園の桜もいつの間にか、新緑輝く葉桜の季節となっています。鳥たちのさえずりは、誠にほがらかで、まさに春のおとずれを告げています。

 

春爛漫のこの良き日に、大阪府立堺工科高等学校 第17回入学式を盛大かつ厳粛に挙行できますことは、誠に喜ばしいことです。

 

ただ今、入学を許可しました210名の新入生の皆さん、ご入学 おめでとうございます。

教職員一同、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 

本校は、昭和11年に設立され、今年で85年を迎える、歴史と伝統を誇る専門高校です。在学中に力をつけた卒業生の方々は、産業界の多方面で活躍されています。

「普通」を超えた工科高校として、基礎学力の学び直し、資格取得の支援、安定した企業への就職、指定校推薦での大学進学等「一人ひとりの夢をかなえる進路実績」が本校の強みです。

特に、先生と生徒との距離が近く、面倒見のよい先生、情熱あふれた先生がたくさんおられます。放課後も、補習や技能講習で遅くまで指導されている姿がみられます。困ったときは、遠慮しないで相談してください。一人ひとりに合わせて、分かり易く教えてくださることと思います。

 

さて、これから始まる高校生活が、充実したものになるよう、私から皆さんへのお願いが、三つあります。

 

まず、卒業までの目標を決めてください。

資格を取得する。部活動を頑張る。ボランティア活動に取り組む。進学に向けた勉強をする。何でもかまいません。

現代心理学の基礎を築いた心理学者アルフレッド・アドラーが、人生の目標を決めたのは5才の時だそうです。

スケートをしていて肺炎にかかった際、奇跡的に一命をとりとめたアドラーは、この時「医者になろう」と決心しました。途中、数学が苦手で何度も挫折しかけましたが、目標に向かって懸命に努力し、夢をかなえました。

アドラーは、「一本の線を引くとき、目標を目にしていなければ、最後まで線を引くことはできない」と考えました。目標があるからこそ、人は前に進めるのです。

 

つぎに、逆境に負けることなく日々努力して下さい。

NHK大河ドラマ「晴天をつけ」の主人公 渋沢栄一は、銀行や鉄道会社など、約五百もの企業の設立や運営に関わった、日本近代経済の父と呼ばれる人物です。

その一つに、日本初の化学肥料製造会社がありました。

当時の農家には、化学肥料への偏見が根強くあったので、赤字が続き、その上、火事で工場設備の全てが焼け落ちてしまいました。

株主の多くから「会社の解散」を求められますが、渋沢は化学肥料製造が農業の振興に不可欠であると諦めませんでした。

「挫けても、挫けても、たゆまず築き上げてゆく」という渋沢の信念が通じ、会社は操業を再開しました。

新型コロナウィルスの全国の感染は収まらず、今や「第4波に入りつつある」とも言われています。

多くの人や企業が厳しい状況に置かれています。

この先もしばらく、忍耐が求められる生活が続くかもしれませんが、「挫けても、挫けても、たゆまず」努力を続け、この苦難の時期を乗り切って欲しいと思います。

 

最後に、人との出会いを大切にしてください。

私が教員になって数年のころ、バスケットボール部の顧問を頼まれ、初心者顧問講習会に参加したことがありました。

そこで、常々全国大会に出場している高校の、H先生と出会いました。

講習会でのハードな課題に、根をあげそうになった時、H先生は、「練習は楽しくしましょう。顧問がしんどい顔してたら、生徒は楽しくなくなりますよ」と、手取り足取り教えて下さいました。

熱血指導されることでも有名で、試合の際には、応援に力が入るあまり対戦チームのベンチ・エリアにまで侵入してしまうので、ルール改正の元にもなったという逸話がある、熱い先生でした。

私は彼から、ポジティブなものの考え方、人に教えることの大切さなど、大きな影響を受けました。彼が大学の学長となった今でもお声がけいただき、励ましてもらっています。

私たちは、人との出会いによって成長していきます。人との出会いは財産です。一つひとつの出会いを大切にしてください。

 

結びになりますが、

保護者のみなさま、お子様のご入学を 心からお祝い申しあげます。

お子さまをこんにちまで、育むに際しては、様々な喜びやご苦労があったことと思います。

高校は、入学が目標ではなく、社会規範を身に着け、立派な社会人となれるよう、成長することが目標です。

教育は、学ぶ者の意欲と、教える側の熱意、そして保護者のみなさまのご協力と、温かい見守りが、一体となった時に、最大の効果が得られます。

保護者の皆さまと学校が、ともに手をたずさえて、お子様をみちびいていければと思います。

どうか、本校の教育活動のために、ご理解、ご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

それでは、新入生の皆さんが、コロナ禍を乗り越え、学校生活の中で、自らを磨き、輝き、たくましく成長することを心から祈念して、式辞といたします。

 

令和三年四月八日

大阪府立 堺工科高等学校

校長 中田 浩史

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