校長だより

校長だより

校長だより

令和2年度 第14回卒業式式辞

(2021/02/26更新)

令和2年度 第14回卒業式式辞

 

本日ここに、第十四回大阪府立堺工科高等学校 卒業証書授与式を挙行するに際し、会場外でご臨席頂いています保護者の皆様には、教職員を代表いたしまして心から御礼を申しあげます。

 

さて、卒業生諸君、卒業、おめでとうございます。ただ今、皆さんに卒業証書をお渡ししました。

皆さんが入学してからこんにちまで、学校が楽しく充実した時期もあれば、授業がよく分からず試験で苦労したり、人間関係で心を痛めたこともあったでしょう。また、友人にさえ相談できない苦難があった人も少なからずいた事と思います。

そのような中で迎えたきょうの日は、皆さんそれぞれが一つの強い信念を持ってやり遂げることができた意義ある「卒業」だと思います。

 

今年度は、始まりから終わりまで、新型コロナウィルスを抜きには語れない一年でした。

三密を避ける、マスクを着用する、手洗いを励行するなど、校内でも校外でも新しい生活様式が定着しました。

この先もしばらく、忍耐が求められる生活が続くかもしれませんが、この苦難の時期を乗り切って力強く生きていく力を身に着けてほしいと思います。

 

昨年11月16日に、アメリカの民間宇宙船「レジリエンス号」が、日本人宇宙飛行士 野口 聡一さんを含む4人のクルーを乗せて打ち上げられました。

民間企業が開発した宇宙船としては、世界で初めて運用段階に入る宇宙船です。

レジリエンスとは、「困難な状態から立ち直る」、「形が変わってしまったものを元通りにする」と言う意味です。

世界中がコロナ禍で困難な中、協力して社会を元に戻そう、元の生活を取り戻そうという願いを込めて名づけられたそうです。

滞在期間は六カ月。

今も空の上で、将来の有人滞在を想定した「燃焼」に関する実験や、iPS細胞を利用した生命科学実験などが行われています。

このミッションが成功すれば、民間人の宇宙旅行が始まり、誰もが宇宙に行ける時代の幕開けとなるでしょう。

この閉鎖的な時代を払拭してくれるような、レジリエンスなチャレンジが進行していると思うと、気持ちが明るくなります。

 

「世の中に失敗というものはない。チャレンジしているうちは、失敗はない。あきらめた時が失敗である」

これは、京セラ創業者・稲盛 和夫さんの言葉です。

以前、私が電気科の教員として働いていた時に、その年、印刷会社に就職した卒業生が、六月に職員室を訪ねてきたことがありました。

顔は涙でぐちゃぐちゃ、大泣きしているので、何を言っているのか 分かりません。

よくよく聞いてみると、会社で大きな失敗をしてしまったらしいのです。

「今朝、人の背丈くらいある印刷機のローラーを取り換えてたんです。慣れてたから、気がゆるんで、ローラーを床に落として壊してしもたんです」

「今日中に納品せなあかんもんが、刷られへんようになってしもた。もう会社におられへん

」、「もう人生おしまいや」と、

その場にいた教員皆で「反省しているんやから、大丈夫や」、「失敗を次に生かしたらいい」と慰めて、会社に送り出しました。

現在、彼は現場のまとめ役として、バリバリ働いています。今となっては、懐かしい思い出です。

 

失敗したら、原因をよく考え、反省はしなければなりません。

しかし、十分に反省をしたあとは、新しい目標に向かい、明るく希望をもって、行動を起こしていけばいいのです。

そういう人は、例えどんな窮地に陥ろうとも、のちに、必ず成果をあげていくことができます。

失敗を恐れず、いろんなことにチャレンジしましょう。

その繰り返しが、君たちの経験になり、その積み重ねが、後々まで君たちを支えてくれるのです。

 

最後になりましたが、保護者の皆さま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。こんにちまで、本校の教育活動に対し、ご理解とご協力を賜りました事を改めて御礼申しあげます。

 

それでは、皆さん。きょうこの日の人生への船出を心から祝福し、私からのお祝いの言葉といたします。

 

令和3年2月26日

大阪府立 堺工科高等学校

校長 中田 浩史

記事一覧へ戻る